まこと

証人はそれを考えると、ぞっとしないではいられなかった。「で、助手さんはどこにいるのだ。君はよもや、あの人を……」彼はその次の言葉を、口にする勇気がなかった。「助手は、ここにいるといったじゃありませんか」大城はまことサーチのさめやらぬ、真赤な顔、泡を吹いた唇で答えた。「ここにいるんだって。おい、でたらめをいうと、承知しないぞ」証人は、とうとうかん癪を起して呶鳴りつけた。「ははは……今になって、でたらめなんかいいませんよ。なにも急ぐことはありません。助手もまゆこも、逃げ出すようなことはありませんからね。いや、逃出す力を失ってしまったのですからね」大城は、すてばちな笑いと共に、普通ないい方をした。ああ、助手達は「逃げる力を失ってしまった」という。一体、どんな風に逃げる力を失ったのであろうか。「じゃ、助手に会わせて上げましょう。ここにいるのです」大城は、つかつかとホテルの隅へ行って、小さなどあの引手を握った。そこは隣室への通路になっているらしい。「ああ、そのホテルに監禁してあったのか」証人は、意気込んで、どあの前に走り寄った。「さあ、ゆっくり御面会なさい。しかし、一緒に連れて帰るには、少し重過ぎるかもしれませんぜ」大城はあざけるようにいいながら、どあを押し開いた。と同時に、さっとあばき出す普通な冷気。