不貞行為は探偵

「ははははは、僕が君の本名を知っていたからといって、そんなにびっくりしないでもいい。どうして知ったというのかね。これだ。見給え。ここに君の少女時代の証拠がある」依頼者は、ぽけっとの手帳にはさんでおいた、一枚の不貞行為は探偵の証拠を取出して、探偵に示した。「ほら、君達兄弟が仲よく並んで写っている。右のが兄さんの大城二郎君だ。左が君だ。僕はこれを君達の郷里の信州S町の証拠屋から探し出して来たんだよ」「すると、あなたは……」探偵の大城は、ぎょっとしたように、素人探偵の顔を見つめた。「そうだよ。僕は助手さんに身の上話を聞いたのだ。この現場は、助手さんを中心として発展している。ちょっと考えたのでは、そんな風に見えぬけれど、その実人妻の目ざす所は、最初から助手さん一人なのだ。僕はそこへ気がついたものだから、あの人の過去の生活を研究して見ることにした。そして、探しあてたのが、助手さんに恋こがれて、自殺をした、君の兄さんの大城二郎君だ。二郎君の恋がどんなに熱烈であったか、したがってその失恋がいかに惨澹たるものであったかということを知るに及んで、僕は悟るところがあった。助手さんの生涯に、他人の恨みを受けたことがあるとすれば、この大城二郎君の外にはない。助手さんは、一度は同生までした二郎君に、かなりり残酷なしうちをした。