大阪で不貞行為

あれは、投げ込んだのではなく、君自身がわざわざそこへ落として、拾い上げて見せたのだ。……また、代々木のあとりえで、がらす窓を砕いた石つぶても、やっぱり、君が先ず脅迫状を落としておいて、逆に中からがらすを破って見せたのだ。あの時、僕が一生懸命外を探しているのを見て、君はさぞおかしく思ったことだろうね。……大阪で不貞行為のバルーン男の場合も同じことだ。けいこさんに聞くと、あのバルーン男は、唇のない、いつもの奴とは違っていた。君の素顔でもなかった。あれは君の助手の盲想詩人上田の、飛んだ番狂わせのあっぱれ沙汰に過ぎなかったのだ。君はただけいこさんを誘拐させるのが目的で、何も競技館の天井へ昇ったり、バルーンで逃げたりする放れ業を命じた訳ではなかった。こいつは困ったことになったと思ったに違いない。そこで、バルーンが海に落ると、君は真っ先に現場へもーたーぼーとを飛ばした。そしてポリスのらんちが近づかぬ内に、舟の中で助手の上田を絞め殺し、例の仮面をかぶせておいて、いきなりがそりんを爆発させ、君自身は素早く海の中へ飛び込んで、命をまっとうしたのだ。……大城三郎君!どうだね。僕のいったことが間違っているかね」依頼者は、意外な名前で、探偵に呼びかけた。探偵の顔には、いよいよ深い驚きの色が浮かぶ。