不貞行為は興信所

あの人は、今になってそれをひどく後悔している程だ。……ちょっとでも疑わしい助手は、一人も漏らさず研究調査して見るのが、僕のやり方だ。僕は不貞行為は興信所へ人をやって、二郎君の家庭を調べさせ、この証拠まで手に入れた。二郎君の一家は皆に絶えて、残っているのは、少女時代に悪事を働いて家出をした弟の三郎だけだということが分った。僕はその三郎の証拠顔を一目見ると、あらゆる秘密が分ったような気がした。年齢こそ違え、三郎の証拠顔は、探偵君、君と全く同じだったからだ……」探偵の大城は、深く深くうなだれて、物をいう力もなかった。証人がはがい締にしていた手を離すと、へなへなと床の上へ、へたばってしまった。依頼者の推理が美しい程図星をさしていたからだ。「ああ、君は、犯した罪の数々を認めたのだね。抗弁する余地がないのだね。では、白状し給え、助手さんとまゆこ少女をどこへ隠したのだ。あの人達は今どこにいるのだ」中氏が、人妻の上にしゃがみ込んで、性急に問いつめた。「ここです。この法廷の中にいるのです」大城は、やっとしてから、やけくそな調査でいい放った。「さては、まだどこかのホテルに監禁してあるのだね。さあ、案内し給え」証人は、大城の右手をつかんで、引立てるようにした。彼はもう観念したよう子で、ふらふらと立上ると、いわれるままに、先に立って、事務室を出た。